マリリンモンローは美人か? 『美学への招待』佐々木健一
人間なら誰でも「美」に関心があるのではないでしょうか。
美しい女、美しい風景、美しい服、美しい行動・・・
そこで「美学」というと、「男の美学」などと言うように、「こうあるべき」「これが美しい」などといった「あるべき論」や「何が美しいか」といった議論を期待されるかもしれません。
ところがこういった議論は、結局は人それぞれです。「蓼食う虫も好き好き」というやつです。最も芸術やデザインにおける技法というある程度確立されたものはあります。
学問としての「美学」というのは、「何が美しいか」ではなく、「美とは何か」「芸術とは何か」「感性による美と知性による美」といったものをテーマとして扱います。
先日村上隆の作品が、十数億で落札されるというニュースがありました(こちら)。このニュースを見て、この作品が芸術だとあなたは思うでしょうか。あるいはマルセル・デュシャンの『泉』や、アンディ・ウォーホールのポップ・アートについてはどうか。
この本では、その美学が扱ってきたテーマ(たとえば「美とは何か」「芸術とは何か」「感性による美と知性による美」)について、いかなる考えがあり、それがどう変遷してきたかが非常に分かりやすく述べられているし、自分の身近にある日常を出発点としている話も多く、美学の入門にはベストだと思います。
近代美学と現代美学の歴史を学ぶことで、美学の範疇を超えた歴史、思想史的な枠組みまで理解することができる良書です。
- 作者: 佐々木健一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/03/01
- メディア: 新書
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