人間の条件 プロローグ

p.10 「地球に縛り付けられている人間がようやく地球から脱出する第一歩」という信念

地球という人間の条件そのものに対して、脱出をしようとする試みは何故生まれるのだろうか。人間はあらゆる"条件"から脱出しようとする傾向にあるのではないか。これは、あらゆる条件を人工化しようとする試みであり、根本には動物的状況に対する嫌悪がある。しかしこれは余りに啓蒙主義的な観点であるように思われる。


p.11 近代の解放と世俗化は、必ずしもキリストの神に背を向けることによって始まったのではなく、むしろ天国の父なる神から離れることによって始まった。

キリストの神と天国の父なる神の区別はどうなされているのか。一行後の「空の下の万物の母である地球」と対比させている言葉であることは分かる。世俗化とは、影響力が低下することであり、批判の対象とされることである。


p.12 それは第一級の政治的問題であり、したがって職業的科学者や職業的政治屋の決定に委ねることはできない。

科学によるあたえられたままの人間存在からの脱出は、大いに問題を孕むものである。果たしてその時人間はどうなるのだろうか。


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疑問点
あらゆる物理的条件を解放するものとして、いつか科学は人間の条件を解決することができるようになるだろう。その時人間は人間たりえるのだろうか。活動的生活はどのように変わるだろうか。またその時幸福でいられるのだろうか。