トレインスポッティング (1996)

 ヘロイン中毒のレントンは、仲間たちと愉快ででたらめな日々を過ごしていた。ロンドンで仕事を見つけたものの、仲間たちのせいで結局クビに。そんなところへ、売人から大量のドラッグを売りさばく仕事を持ちかけられて……。イギリスでカルト的な人気を得、舞台にもなったI・ウェルシュの同名小説に、秀作スリラー「シャロウ・グレイブ」のチームが挑んだ話題作。スコットランドの、今の若者をリアルに描いているが、D・ボイルの斬新な映像センスはそこかしこに溢れ、まったくもってユニークな作品に仕上がっている。本国はもとより、アメリカ、日本でも大ヒットとなった。


 90年代半ばのイギリスの若者たちを描いた映画。日本でもヒットしたらしい。若者たちはとにかくヤクに逃避する。赤ん坊が死んでもヤクに逃避。とにかく逃げる。どこまでも堕落していく若者たちの、友情のようで、友情でないような、奇妙な連帯感と張り詰める緊張感がよく出ていた。セックスよりイケるものが、金で簡単に手に入るのに、どうしてくだらない、排他的な社会に出て行かなければならないんだろうと診ながら自問した。


 イギーポップの音楽に始まり、アンダーワールドのborn slippyで終わるというのはまさにイギリスの若者のセンスなんだろうか。格好いい。音楽のみならず、ファッションもクールで、大人びて見える主人公たち。しかし、ヤクを取り上げられた弱った主人公が、両親に抱っこされベッドに寝かされたり、両親の財布から金をパクっちゃうというのが面白い。思いっきり子供である。しかし、こんな息子の姿を見たら日本の両親だったらまず号泣するだろうなあ。もっともっと深刻に考えるだろう。イギリスの両親は、「それでも愛してるわ」という。その辺を比較すると面白いかも。


 ドラッグの幻覚描写が凄いわ。4つ打ちの音楽が鳴りながら、あの映像をみせられるのはこっちもヤバイ。公開当時ならば、単なるファッション映画としてしか見れないかもしれない。今だからこそ面白い映画かもしれない。